トカラ列島近海で3日午後に発生した震度6弱の地震を受け、国土交通省は非常態勢に入った。同日夕方に「特定災害対策本部会議」を東京・霞が関の同省で開き、オンラインで参加した中野洋昌国交相が早急な被害状況の把握や「人命第一で災害応急対応に全力で取り組む」ことなどを指示した=写真。九州地方整備局から鹿児島県庁と鹿児島県十島村にリエゾン(災害対応現地情報連絡員)を派遣。ヘリコプターや船舶を派遣して被害状況を調査している。
3日午後4時13分ごろ発生した地震はマグニチュード5・5。6月21日から続く群発地震では最大規模だった。群発地震では震度1以上の地震が4日午前4時までに1139回発生。記録に残る1995年以降で最も多くなっている。
国交省は地震発生後、直ちに本省と九州整備局、九州運輸局、気象庁、国土地理院が非常態勢に移行した。リエゾンは鹿児島国道事務所から鹿児島県庁に2人、鹿児島港湾・空港整備事務所から2人を十島村に派遣。国交省と気象庁は、地震で地盤が弱くなっている可能性があるとして、大雨注意報・警報、土砂災害警戒情報の発令基準を引き下げた。
震度6弱の地震発生時、悪石島、小宝島などの広域被災状況調査で周辺を飛行していた九州整備局のヘリは、種子島空港で給油し調査を再開。4日も引き続き被災状況調査を続けた。海上保安庁も巡視船4隻と無人機を含む航空機4機を投入した。
政府は3日付で十島村に災害救助法の適用を決めた。国交省によると、今ところ被害の情報はなく、断水なども発生していないという。ただ地震が続いているため十島村は住民の離島避難を始めた。