国交省、農水省/日事連と木材利用促進で協定締結/設計支援ツール作成目指す

2025年7月7日 行政・団体 [1面]

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 国土交通、農林水産両省と日本建築士事務所協会連合会(日事連、上野浩也会長)が「建築物木材利用促進協定」を結んだ。中層建築物の木造設計支援ツールの作成や普及、木材需給のミスマッチ解消などで連携する。都道府県単位で建築士事務所協会と自治体の木材利用促進協定の締結も促す方針だ。
 中高層建築、特に3~4階建ての中層建築を対象に、中小の設計事務所が木造化に取り組みやすくするため、日事連が設計支援ツールを作成し普及を目指す。木材需給のミスマッチ分析と課題解決、全都道府県と各建築士事務所協会との協定締結も協定書に盛り込んだ。国交、農水両省は技術的助言や補助事業の情報提供、広報活動への協力などで日事連の活動を支援する。都道府県に協定締結を働き掛けていく。
 4日に東京・霞が関の農水省で協定締結式を開いた=写真。上野会長は「木造の普及を考える上でも木材の流通がしっかりしていることが必要だ。木造の構造計算ができる技術者の育成にも取り組みたい。地方都市で中層木造建築を建てるには、建築基準法との擦り合わせも必要で国交省と協議したい」と意欲を見せた。
 林野庁の小坂善太郎長官は「木造化をより進めたい。特に非住宅分野の中層建築で木造比率を高める必要がある。小泉進次郎農水相から『森のある日本で、もっと地方の街で木を使うべきだ』との指示もあり“森の国、木の街プロジェクト”を立ち上げる予定だ」と語った。国交省の井崎信也官房審議官(住宅局担当)は「協定は特に木造化率の低い中層の非住宅木造建築の普及に貢献することをうたっている。協定を機に、さらに多くの設計事務所に木造建築に取り組んでもらえることを期待している」と述べた。