全建会員調査/BIM・CIM、8割が受注実績なし/活用や普及進まず

2025年7月7日 行政・団体 [2面]

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 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)が会員企業のBIM/CIM活用工事の受注実績を調べたところ、85・9%が「受注していない」と回答し、活用工事の発注が進んでいないことが分かった。活用状況では建築分野のBIMが約3・5%、土木分野のCIMが約14・7%にとどまり、両分野とも活用や普及が進んでいない現状も明らかになった。
 2024年度生産性向上の取り組みに関するアンケートには会員企業1958社が回答。会員企業の主な受注先は都道府県(51・3%)、市区町村(20・1%)、国土交通省(15・6%)の順に多く、約7割の社が主に地方自治体から工事を受注している。
 CIMの活用状況を見ると「活用実績がある」(14・7%)、「今後活用したい(準備を進めている)」(19・8%)と活用に前向きな回答は3割だった。「活用する予定なし」(25・7%)、「聞いたことはあるが内容を知らない」(23・2%)、「活用したいが取り組めない」(16・0%)と続いた。
 「活用実績がある」と「今後活用したい」と回答した企業を対象に、想定している活用内容について質問(複数回答可)したところ、「発注者や施工関係者の合意形成」(64・0%)、「施工ステップの可視化による合意形成の円滑化」(61・8%)、「工事にかかわる管理データの一元管理」(48・4%)となった。
 BIMの活用状況を見ると、「活用する予定なし」(54・6%)が最も多く、次いで「聞いたことはあるが内容を知らない」(18・8%)、「活用したいが取り組めない」(11・6%)、「今後活用したい」(11・0%)と続いた。「活用実績がある」は3・5%にとどまった。
 BIMの「活用実績がある」「今後活用したい」と回答した企業が想定している活用内容(複数回答可)を見ると、「発注者や施工関係者間の合意形成」が63・5%と最も多く、次いで「施工計画への活用」(62・1%)、「施工図作成」(60・7%)となった。
 BIM/CIM活用の課題や要望を聞くと、「BIM/CIMに精通した技術者の採用・育成が必要」(65・9%)が最も多く、次いで「ハード・ソフトウエアが高額」(49・8%)と人材面とコスト面の課題が浮き彫りになった。会員企業からは「BIM/CIMは、大手企業だけでなく地域の中小建設業者にとっても将来的な技術基盤となるべき重要な仕組みだ」「小規模事業者が無理なく取り組めるよう、コスト面・技術面・制度面での継続的な支援と、現場実態に即した導入環境の整備をお願いする」との意見も上がっている。