名古屋高速道路公社は4日、運営会議(会長・大村秀章愛知県知事)を名古屋市北区の黒川ビルで開き=写真(名古屋高速公社提供)、初めて策定した長期ビジョン2035や27年度までの3年間を計画期間とする新たな中期経営計画について説明した。長期ビジョンの将来像には「人々の暮らしや社会をもっと豊かに、もっとしあわせにする道路」を掲げ、インフラの長寿命化や災害への対応など10の取り組み方針に基づいて施策を推進する。
長期ビジョンは、大きく変化する社会環境の中で公社が目指すべき将来像を明らかにし、取り組みを名古屋都市圏のさらなる発展につなげるためにまとめた。人々の暮らし、地域社会・産業を支えるといった観点から、「いつでも、だれでも安全・安心な道路」など五つの方向性を設定。これらの達成に向けた取り組み方針は▽インフラ長寿命化と災害への対応▽安全・安心な道路空間の実現▽快適な走行空間の実現▽ゆとりや楽しさの実現▽道路ネットワークの充実▽次世代に向けた技術開発に貢献▽持続可能な社会づくりへの貢献▽地域社会への貢献▽経営基盤の強化▽人材確保・人材育成-を示した。道路ネットワークの充実では、新洲崎出入り口の整備など都心アクセス事業の推進や都心部と周辺地域を結ぶネットワークの強化を盛り込んだ。
中期経営計画(25~27年度)は、長期ビジョンに掲げた目指すべき将来像を踏まえ、3年間で実行する具体的施策とロードマップを示した。次世代に向けた技術開発では自動運転や建設・維持管理へのAI、ICT活用を推進。試験施工による技術検証も含め、27年度までに9件の新技術活用を予定する。
新洲崎地区の出入り口設置工事は、24年度に着手し、橋脚基礎など下部工の構築を進めている。25年度は鋼製橋脚の製作を開始する。栄地区は栄出入り口と丸田町JCTの渡り線の詳細設計を推進。25年度中の工事契約の締結を予定する。新たな出入り口設置に向け用地取得を行っている黄金地区も25年度の工事契約締結を予定する。これらに加え、4月に国土交通省で新規事業化された「名岐道路(一宮~一宮木曽川)」も、有料道路事業の合併施行を念頭に手続きを進める。
松井圭介同公社理事長は「長期ビジョンは将来を見据え、公社の若手が中心になってまとめた。示した内容に沿って着実に取り組みたい。都心アクセスの整備も関係者と連携して推進する」と話した。