東京都は千代田区や新宿区などに広がる複数の外堀の水質改善に向け、具体的な技術や施設の設計方針を固める。8日に実施計画案の策定に向けた検討業務を公告した。外堀の浄化に当たっては荒川の水や下水再生水を流し込むことで濠水を流動化。約5日で外堀の水を入れ替え、水質悪化の原因となるアオコの大量発生を防ぐ。人々が憩える空間をよみがえらせる。
水質改善対象の外堀は▽市ケ谷濠▽新見附濠▽牛込濠-の3カ所。都が2022年5月に策定した「外濠浄化に向けた基本計画」では、外堀に二つの導水ルートを提示した。
一つは多摩川上流水再生センター(昭島市)の再生水を玉川上水路や新設する水路を通って外堀に流す。もう一つは秋ケ瀬取水堰(さいたま市、埼玉県志木市)から取水した荒川河川水を既存・新設水路や玉川上水路などを通って外堀に導水する。二つのルートとも22年度から基本・実施設計、工事などに順次取り組み、30年代半ばに施設を完成する計画だ。
都財務局は「外濠の水辺再生に向けた検討業務委託」の希望制指名競争入札を8日に公告した。参加申請を11日まで電子調達システムで受け付け、30日に開札する。「都市計画・交通等計画業務」のA等級に格付けされている者が入札に参加できる。
業務では都民に示す実施計画の素案を作成する。素案には外堀の現況のほか、これまでの浄化事業の経緯を記載する。今後行う新たな浄化方法と技術的なアプローチ、施設の具体的な設計方針も明らかにする。具体化した導水ルートに加え、施設整備ステップも明記する。
導水ポンプ所や導水管渠の建設に向け、実施計画素案にはそれぞれの施設の機能や数量なども記載する。吐口の整備に関しては、検討体制を示した図も掲載する。作成した素案を必要に応じて修正し、実施計画案にまとめる。履行期間は26年3月27日まで。