回転窓/子育地蔵尊に参る

2025年7月14日 論説・コラム [1面]

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 東京都文京区の江戸川橋地蔵通り商店街入り口に「子育地蔵尊」が祀(まつ)られている。祠(ほこら)にその由来が書いてある▼三方を台地に囲まれたこの地が一面の田畑であった頃、近くの江戸川(現神田川)はしばしば氾濫していた。そして明治の初めにいずこからか流れてきた地蔵尊を祀ったのが起源だという。洪水が多かった日本でこうした伝承は各地に残る▼米南部テキサス州で4日発生した大雨による洪水は、先週までに死者が少なくとも120人に上る大災害となった。キャンプに訪れていた多くの子どもたちも犠牲になったと報じられている▼地球規模で自然災害が激甚化・頻発化する中、日本では梅雨の時期から秋にかけて大雨に伴う洪水と土砂災害が懸念される。昨年は大地震に見舞われた能登半島が再び豪雨により大きな被害を受けた。これを踏まえて国交省の有識者検討会が6月、複合災害の被害軽減に向けた提言をまとめた▼江戸川橋の子育地蔵尊は子育てや商売繁盛に御利益があり、「火伏せ地蔵」としても敬われている。赤ん坊を抱いたやさしいお顔の地蔵尊にお参りし、改めて切に願う。子どもたちと地域の安全を。

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