大阪府都市整備部が北摂地域の道路ネットワーク強化を目的に整備を進める都市計画道路豊中岸部線・岸部南工区(吹田市岸部南~南正雀)で、用地取得が全体の約4割まで進んだ。鉄道立体交差部の詳細設計に向けた支障物移設計画の協議も大詰めを迎えており、早ければ2025年度中に詳細設計に着手する。工事用道路の整備も続けて進めるが、年度内の着工は流動的な状況としている。
岸部南工区は府道大阪高槻京都線と都市計画道路十三高槻線を結ぶ約0・5キロの幹線道路で、踏切の渋滞解消を狙った阪急京都線とのアンダーパスによる立体交差が整備の大きな柱となる。21年3月に事業認可を取得し、以降は予備設計や用地買収、土地の境界確定を進めてきた。現在は立体交差に伴う地下埋設物の移設に向け、電気・ガス・上下水道など6事業者と阪急電鉄を含む関係機関と協議中。
立体交差は本線部がアンダーパス構造で、幅道部はアンダーパス区間を除く両側の地上部平面に取り付く形となる。詳細設計は移設計画の完了後に阪急電鉄と大阪府の間で工事範囲を取り決め、それぞれが担当区間の設計に着手していく。設計業務は鉄道部を阪急、鉄道部以外を府から発注する。府の担当者は「支障埋設物の移設計画にめどがつき次第、発注予定で設計案件を追加公表する」としている。
全体事業費は約65億円。うち工事費は街路築造工約18億円、函渠工(鉄道交差部)約21億円、電線共同溝工約3億円を概算する。道路幅員は22・5~40・0メートル。本線部は車道4車線(各3・0メートル)と右折レーン(3・0メートル)を含む約15メートル。副道は車道2車線(片側3・25メートルと路肩1・5メートル)に加え、両側に歩道(各3・95メートル)と自転車通行空間(各1・0メートル)を整備する。30年度の完成を目指す。
踏切による慢性的な渋滞を解消し、南北交通の円滑化や健都(北大阪健康医療都市)へのアクセス向上、府道大阪高槻京都線の混雑緩和など、多面的な効果が期待される。
費用便益比(B/C)は「7・98」と高く、物流の効率化や地域活性化といった経済波及効果も大きく、北摂地域の将来を支えるインフラとして地元からの期待も大きい。