清水建設らは土木工事の無人化施工に向けた一環として、自律施工型ブルドーザー「Smart Dozer」による盛り土工事の実証施工を開始した。運転動作の自律制御システムと環境認識システムを実装しており、動的に変化する周囲の環境に応じて最適な施工経路を自ら判断する自律施工機能を搭載。実証フィールドでの動作検証を経て、年内に実現場への適用を目指す。
自動車部品のアプリケーション開発などを手掛けるボッシュエンジニアリング(横浜市都筑区、プラックマン・ジョン社長)や、山崎建設(東京都中央区、衛藤雄二社長)と共同で取り組んでいる技術開発の一環になる。
実証フィールドを活用した動作検証では、待機場所から敷きならしエリアに至る移動経路やエリア内での施工経路を自律的に導出する経路自動生成ソフトを環境認識システムに組み込み、建設機械自ら周辺状況を検知し最適動作が判断できる自律運転の実現を目指している。
清水建設ら3社は2020年度に盛り土作業に従事するブルドーザーの自動運転、自律施工機能の開発に着手。24年度までの研究成果として、自律施工に不可欠な高度環境認識システムを開発した。周囲にある土砂山や建設機械、人、障害物を高精度に識別し、地形の高さをリアルタイムに検知できる環境認識システムと、車体の移動やブレードの上下動、緊急停止動作といった自律制御システムをブルドーザーに搭載。設定したプログラム通りに敷きならし作業を遂行する自動運転を実現している。
清水建設によると、環境認識機能の一部は国土交通省による「宇宙無人建設革新技術開発」の一環として研究開発を受託した。今後はブルドーザー以外の建設機械の自律化にも順次着手し、無人化施工の範囲を拡大していく。