房総半島の南部を東西に横断するのに便利な長狭街道は千葉県の太平洋側の鴨川市と東京湾側の鋸南町を結ぶ。長くて狭い平野を通る約30キロの道路は途中に適度な上りや下りがあり、自転車やバイクの愛好家もよく走っていると聞く▼東京湾から一番近い棚田とされる大山千枚田をはじめ米どころの道としても知られる。沿道には新鮮な魚や野菜をご当地ブランドの長狭米と一緒に提供し、人気になった飲食店がずいぶんと増えた▼今回の参院選から鴨川市と鋸南町は当日投票の終了時刻を午後8時から午後6時に繰り上げた。投票所の運営に欠かせない人材の確保が課題になり、高齢化した投票管理者や立会人の負担を軽くする必要もあった▼鴨川市によると、約4割の有権者が期日前に投票を済ませるようになったそう。投票機会の確保策も講じたことで選挙当日は開票を早めたり、時間外手当を減らしたりもできたという▼選挙報道を見聞きすると民意が交錯したのは米どころにとどまらない。選挙の体制や方法と同じくらい、これからは民意を背負った人たちの行動がより重要になる。よりよい政策の実行に期待したい。