回転窓/価格で計れない価値

2025年7月25日 論説・コラム [1面]

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 自宅マンションの管理組合が居住していない区分所有者(非居住組合員)に理事会運営の協力金の徴収を検討している。役員を居住組合員から選出する規程で、公平性の観点から役員に選ばれない非居住組合員に金銭的な協力をお願いするのが目的だという▼不動産経済研究所が先日発表した2025年上半期の東京23区の新築マンション1戸当たりの平均価格は、1億3064万円と前年同期比20・4%上昇し過去最高を更新。土地代や建築費の高騰を背景に3年連続で1億円を超えた。首都圏も16・7%増の8958万円と過去最高になった▼物価高や人件費の上昇に加え、供給側が高値で売れやすい立地に絞り込む動きも目立つ。海外からの投資も高額化につながっているようだ▼東京・千代田区は区内に住みたい人が住めなくなる恐れがあるとし、過度な価格上昇を防ごうと不動産業の団体に短期の転売などの取引を抑制するよう初めて要請した。国や都に対しても対応を求めていくとしている▼家は完成してからが始まりで、住みながら時間をかけてつくりこんでいくものだろう。価格だけで計れない価値も大切にしたい。