回転窓/我が成すことは我のみぞ知る

2025年7月29日 論説・コラム [1面]

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 日々の職場や暮らしの中で「また不満ばかり言っているな」と感じる場面に出くわすことは少なくない。誰しも、つい愚痴をこぼしてしまう。だが不平不満を口にするだけでは、何も動かず、何も変わらない▼〈言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから〉。貧困や病と向き合う人々のために生涯をささげたマザー・テレサの言葉だ。口にする言葉が思考を形づくり、行動を導く。だからこそ、どんな言葉を発し、どう生きるかが問われる▼まず大切なのは「己を知る」こと。自分の強みや弱みを冷静に受け止めれば、できること、やるべきことが見えてくる▼次に「周囲を見る」。他人の立場や背景に目を向ければ、単なる批判ではなく、共感と提案のある会話が生まれる。そして「目標とそこに至る道筋を描く」。現実的なゴールと歩みを思い描くことで、建設的な思考が芽生える▼最後は「行動する」こと。〈世の人は我を何とも言わば言え、我が成すことは我のみぞ知る〉(坂本龍馬)。不満を口にする前に、自分が何を変えられるかを考え、動く。その積み重ねが周囲を、社会を、そして自分を変える力になる。