技能者や技術者の不足が深刻化する中、いかに多様な人材に活躍してもらうかが問われている。日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は男女を問わず若者や外国人から選ばれる産業となるため、新長期ビジョンで▽異次元の処遇改善▽人材育成の抜本的強化▽多様な人材活躍-を3本柱に設定。従来の3K(きつい、汚い、危険)のイメージを払拭し、魅力あふれる新4K(給与が良い、休暇が取れる、希望が持てる、かっこいい)産業を実現させる。
異次元の処遇改善を図り、技能労働者の所得を倍増させる。全産業平均を圧倒的に上回る水準とするため、年平均7%以上の持続的な賃上げを実施。40代平均年収を現状の500万円程度から、1000万円超へと引き上げる。公共工事設計労務単価が持続的に上昇していくよう国への働き掛けも続ける。
建設業退職金共済(建退共)制度の抜本的改善も検討。現行の単一掛け金制度を改め、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用したレベル別の掛け金にするとともに、まずは退職金1000万円を超える額を確保する仕組みを目指す。他産業を上回る水準として2000万円も視野に入れる。
業界を挙げた「土日祝日一斉閉所運動」や夏季・年末年始休暇の確保、猛暑日の作業禁止といった制度改革も進める。多様な働き方・休み方を取り入れ、個人がライフスタイルに合った就労を実現。勤務体系を改革し、若年層の建設業離れを食い止める。さらに人材育成の抜本的強化に向け教育機関と連携した育成システムや、技能レベル別の体系的教育、現場からオフィスまでを見据えたキャリアパスを構築する。
女性の活躍もさらに促進。女性就業者100万人(うち技能労働者20万人)の目標を掲げ、環境整備や啓発活動を展開していく。「けんせつ小町活躍推進計画」が24年度で終了し、25年度に新しい計画が始動。35年度に会員企業の女性技術者比率(23年度8%)と女性管理職比率(3・5%)を、23年度比で倍に引き上げる。
外国人材の受け入れと定着にも力を入れる。来日前の日本語教育や技能研修、同一労働同一賃金の徹底、生活支援制度の充実などにより、外国人も安心して働ける環境をつくる。長期的にキャリアアップできる制度整備も進め、建設業の主要な担い手に育てる。国内人材の確保と並行して、グローバル人材を戦力として迎え入れる体制を築く。