内閣府地方創生推進事務局長・高橋謙司氏に聞く/地方の良さを生かし人を呼び込む

2025年8月8日 人事・動静 [2面]

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 7月1日付で内閣府地方創生推進事務局長に就任した高橋謙司氏が、日刊建設工業新聞の取材に応じた。政府が重要政策の一つとしている「地方創生2・0」について、「地方の良さを生かしながら人を呼び込んでいくことが大事になる」と指摘し、関係府省庁と連携しながらハードとソフトを掛け合わせ施策の実行に意欲を示した。建設会社を「地域の守り手としてなくてはならない存在」と語り、「地域経済を支える活躍」を求めた。
 政府が6月に閣議決定した「地方創生2・0基本構想」は、強い経済、豊かな生活環境、新しい日本・楽しい日本を目指す姿とした。その上で「令和の日本列島改造」をテーマに、付加価値創出型の新しい地方経済の創生や、新時代のインフラ整備などを進める方針を打ち出した。年内に総合戦略を策定する。
 高橋局長は人口減少や高齢化、産業の担い手確保といった地域の課題を挙げながらも「地域の発展なくして国の発展はない」とした上で、「地域をどう発展させていくかが重要になる」と決意込めて話した。
 まち・ひと・しごと創生法の施行に伴う地方創生の取り組みの本格始動から10年が経過している。都市再生事業を含めて政策の効果が出ている地域がある一方、「大きなうねりになりきれていない地域もある」と見て、地方創生に意欲的な地方自治体などに対する伴走支援を強化する考え。府省庁の職員が「地方創生支援官」となって自治体に寄り添う「地方創生伴走支援制度」などを進めていく。
 2024年度補正予算を含めて3000億円規模となった25年度の新地方創生交付金の執行が順調に進んでいる。「提案をしっかり応援したい」と述べ、府省庁の施策や企業向けの支援税制と合わせて地域の取り組みを支援する。
 都市再生を巡っては24年に松山市を緊急整備地域に追加指定するなど、インバウンドや関係人口の増加が続く地方都市の対応が焦点になっている。「人口減の中で暮らしとなりわいをどうするかが重要」。付加価値を付けた商品を市場に出すような地域の工夫や取り組みを積極的に支援する。
 再生可能エネルギーをはじめ脱炭素電源の立地地域の動向も注視する。地域の建設業にはインフラの整備、維持管理や災害対応とともに、他産業とも連携した経済の担い手としての役割にも期待を寄せた。