東洋熱工業が東京都葛飾区に整備していた「東熱技術研究開発センター」が完成した。従来の技術研究所(千葉県市川市)と、東京都江東区にあった空調関連装置を製造するエアトロニック事業部を集約。交流を促す執務空間や、大幅に拡張した実験室など充実した実証環境を整えた。「熱を操る空調」の実現を掲げ、研究と製造の両面からイノベーションの創出を目指す。
同センターは1日に運用を開始した。所在地は東立石2の4の5。東京都中央区にある本社と連携を深めるため、都内にあった関連会社の本社工場跡地を取得した。建物はS造3階建て延べ3198平方メートルの規模。建築本体と電気設備の設計・施工は鹿島、空調衛生設備を中心とした機械設備の設計・施工を鹿島と東洋熱工業が担当した。
新センターの内部は、1階エントランスから3階ラウンジまで空間が連続する「スキップフロア型」の立体構造になっている。部署間や来訪者との交流を促す。自然光や風を取り込んで執務空間に生まれる自然な温度差をきっかけに、開発者が新たな着想を得る効果も狙う。
建物は縦型蓄熱槽を活用した蓄熱制御機能など、複数の空調システムが検証できる。今後、新技術などを実証する場として活用していく。研究設備は大実験室に加え、半導体製造に求められる水準のクリーンルームを新設している。