JIW/ドローン点検を社会に広げる/「建設コンサルをコンサルする」

2025年8月21日 企業・経営 [3面]

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 ドローンによるインフラ点検サービスを展開するNTT西日本グループのジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京都渋谷区、矢倉良太社長)。ドローンベンチャー・米スカイディオと共同開発した最新鋭のドローンを駆使し、2019年の設立から6年間で全国1166橋の橋梁を点検した。今春からは野外での点検箇所入力や記録の作成などを効率化する橋梁点検専用の電子野帳アプリケーションも提供している。主に点検業務を担う建設コンサルタントを照準に、きめ細かなサービスを展開していく。
 JIWが提供する橋梁のドローン点検では近接目視点検と組み合わせ、トータルコストが抑えられる最適方法を提案している。小型機体(幅223ミリ・奥行き273ミリ・高さ74ミリ)を使い、目視で確認しにくい狭い空間や鋼材間の細部の点検を可能にする。4Kカメラで微細な損傷もきれいに把握。カメラは上下180度に回転するため、床版部も正対した写真撮影ができる。経験豊富な建設コンサルタントや点検調査会社などの出身社員が記録なども含め作業全般を支援する。
 ドローンを使って高速点検が可能になる一方、手書きで対応してきた野外での点検結果記録の作業スピードが追い付かず、ドローン点検のメリットを最大限引き出せない課題も浮き彫りになっていた。そこで橋梁点検業務の効率化に着目した電子野帳アプリ「Waymark Note」を開発。点検に特化した用語の選択入力や損傷図・写真帳などの1画面切り替え表示、撮影位置の記録と実際に取り込んだ写真の自動ひも付けが可能になり、現場や事務所での作業時間を従来比で約20~30%削減した。アプリの基本機能は無料で提供している。
 矢倉社長は「創業以来取り組んできた『ドローン点検会社』から『ドローン点検を社会に広げる会社』へなり、インフラ点検の生産性向上に貢献したい」と話す。建設コンサルタントや点検調査会社などを想定し、今後3年でさらに1000社程度にアプリなどと組み合わせたドローン点検の展開を目指す。1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故などを教訓にインフラ更新のニーズ増大も予測し、「ご相談いただけたら、より安全安心で効率の良い方法を提案できる」と呼び掛ける。
 担当する事業推進部インフラDX推進担当の下庄孝弘チーフエキスパートは「建設コンサルのコンサルとして点検業務を支えたい」と展望。小池慶太氏は最先端のドローン点検普及を通じて「インフラメンテナンスの担い手確保にも期待している」と話している。