第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が20日、横浜市で開幕した。日本の技術を活用した「革新的な課題解決策の共創」を掲げ、アフリカ諸国との関係強化を目指す。関連する会合が多数開かれ、視察への協力や情報発信をはじめ民間企業と各国要人、関係機関との交流が促される。共同議長を務める石破茂首相は同日、開会に先立って行われた関連会合で、インド、中東、アフリカを一つの経済圏と捉え、連携を強化する構想を進める考えを表明した。
石破首相は日本経済新聞社主催の「インド洋・アフリカ経済圏フォーラム」であいさつし、アフリカとインド洋地域の成長を加速させる新構想として「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を発表した。アフリカ諸国、インド洋地域とともに日本が同イニシアティブの実現に着実に取り組む考えを表明した。
新構想の経済圏域に関し、石破首相は「若い人口と多くのエネルギー資源を擁し、高い経済成長を実現する地域として存在感を高めている」と述べた。日本企業がこれまでもインフラ、資源・エネルギーなどの分野に投資してきたことを説明した上で、アフリカの成長を後押しすると話した。新構想について、今月末に来日するインドのモディ首相と協議する考えも示した。
さらに石破首相は、アフリカの内陸のザンビアからインド洋に面したモザンビークに至る物流網「ナカラ回廊」の整備に協力する方針も明らかにした。相手国の要請を待たない「オファー型」の協力の枠組みや、国際機関と民間の投融資を活用する。幹線道路、給水施設など地域一帯のインフラ開発を支援する。
アフリカ開発会議は1993年に立ち上がり、日本政府の主導で国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC)と共同で開いてきた。22年のチュニジア以来、3年ぶりの開催となる。アフリカの49カ国を招待し、40カ国以上が参加する。今回は、平和と安定、経済、社会を柱に協力策の議論が行われる。協力関係を確認し、最終日の22日に石破首相と共同議長のアンゴラのロウレンソ大統領が記者会見し、成果文書「横浜宣言」の発表を目指す。
会期中には外務省や日本貿易振興機構(ジェトロ)によるテーマ別のセミナー、シンポジウム、パネル展示が行われる。国土交通省は21日に「第4回日・アフリカ官民インフラ会議」を開く。人材、インフラ、PPPについての議論、民間企業の発表などを行う。