関東地方整備局が8月28日、群馬県みなかみ町で実施している「相俣ダム堰堤改良事業」の現場を報道陣に公開した。放流設備を増強し、治水・利水機能を高めるのが事業の目的。利根川ダム統合管理事務所の川上明相俣ダム管理支所長は「新たな放流施設を堤体に取り付け、最大毎秒145立方メートルの能力を付加する。延長約21メートルの放流管用掘削が進行中で、今後ゲート設備の設置が始まる」と、工事の進捗状況を説明した。
相俣ダムは県営ダムとして建設され1956年に本体工事が完了した。だが試験湛水中に左岸台地からの漏水・浸水が発生。問題に対処するため事業が国に移管され、止水壁や遮水壁、止水グラウトの工事を経て59年に完成した。堤高67メートル、堤頂長80メートル、貯水量2万5000立方メートルの重力式コンクリートダム。利根川水系で最も歴史がある。
堰堤改良で削孔工事を担当する飛島建設の浅田徹作業所長は「複雑な削孔形状、険しい谷間という現場で施工を進めるに当たり、2022年の着工から仮設構台を整備し、24年に削孔を開始した。苦心はあったが順調に進んでいる」と述べた。
現場は年内にゲートや機械設備を施工する豊国工業が加わり、28年度の完成を目指し後半戦に入る。