◇若狭湾周辺の観光魅力向上 JAPICは、畿北(福井県南部嶺南から京都府北部、滋賀県西部)の総合開発計画として、「観光」「地域資源の最大化」「林産業の総合化」の観点から▽サバ街道サイクリングを基軸とした畿北地域の再生・活性化▽旧敦賀港線を活用したモール化と自動運転電動バスの導入▽若狭湾周辺の観光魅力アッププロジェクト▽小浜線交通サービス向上による利用促進策▽脱炭素をはじめとするSDGs(持続可能な開発目標)の推進▽京都北山林業と地域の再生-の6プロジェクトを提言した。 歴史的・地理的・文化的に豊かな資産と美しい景観を生かし、これまで十分に注目されてこなかった畿北の魅力を引き出す地域圏計画を示した。 サイクリング道路の魅力向上と沿道の地域づくりに向け、京都府や福井県の県境の「おにゅう峠」の雲海を望む絶景「針畑超え」を再整備し、「サバ街道」サイクリング道路の特徴をアピールする。敦賀港線跡地を活用した「敦賀観光活性化プロジェクト」は旧欧亜国際列車のルートや博物館通りなどをトランジットモール化し、自動運転電動バスを導入して観光回遊性を高める。若狭湾周辺の観光魅力向上で自転車を積載できる電動船による海上タクシーを運行し、半島間を結ぶ周遊ルートを創出する。 小浜線の利便性向上では、サイクルトレインやサイクルバス導入に加え、駅のサイクリングステーション化を提言。高速化や安全対策を進め、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)や電子決済で観光地への移動を支援する。SDGsの推進では福井大学に学部を新設し、全国大学と連携したサテライトキャンパスを形成。若狭湾エネルギー研究センターなどと協力し、環境保全や原子力利用に関する研究を深める。 林産業では「京都北山林業と地域の再生」を掲げた。京都府産材を活用した文化施設や休憩所の建設、伝統工芸産業との連携による新需要の開拓を進める。さらに、林道整備や機械化で林業を高度化し、人材育成も強化。京都産材ブランドの確立と海外富裕層への販路拡大を目指す。 同提言は、歴史的・地理的・文化的な豊かな資産とともに、美しい景観を持ちながら、これまであまり顧みられることがなかった畿北地域の特性を最大限に生かすため、SDGsにも配慮した新たな地域圏計画を示した。今後、具体化に向けた取り組みが進められ、同地区のみならず、他地区でも地域活性化のモデルになれば幸いである。 (JAPIC畿北ブロックWG委員・林田康洋〈JAPIC常務理事〉)