学術会議ら/ぼうさいこくたいで複合災害シンポ開く/中長期的対策が不可欠

2025年9月9日 行事 [2面]

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 日本学術会議(光石衛会長)と防災学術連携体(渦岡良介代表幹事、米田雅子代表幹事)は7日、オンラインシンポジウム「複合災害に立ち向かう防災の知恵-新潟と能登の経験から」を開いた=写真。6、7の2日間、新潟市で開かれた防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)のセッションとして実施。有識者が複合災害の特徴や備え方をテーマに講演した。能登半島地震に対する国土交通省の対応状況も紹介された。
 講演したのは、北田奈緒子日本応用地質学会副会長・GRI財団理事、溝口敦子名城大学教授、鍬田泰子神戸大学教授、安田進東京電機大学名誉教授、木村一幸国交省北陸地方整備局事業調整官の5人。
 北田氏は、2004年の中越地震と24年の能登半島地震を比較し「最初の災害発生状況を的確に把握し、脆弱(ぜいじゃく)な地域を見極めて次の災害を防ぐ柔軟な対応が重要だ」と指摘した。溝口氏は「災害被害は地形により特性や拡大の時間が異なることを理解する必要がある」と強調。その上で「地方建設業や公務員の担い手が減少する中、少子化で限られた人的・技術的・経済的資源をどう活用するか早急に検討すべきだ」と訴えた。
 鍬田氏は複合災害とライフライン復旧を取り上げた。中越地震と能登半島地震の共通点を踏まえ「孤立集落対策や2次災害を想定した応急復旧の工夫に加え、1次災害で弱体化した中山間地への中長期的対策が不可欠だ」と述べた。安田氏は1964年の新潟地震、中越地震と能登半島地震を比較。液状化被害を分析し「旧河道など同一地点で繰り返し液状化が起きている」と指摘した。
 木村氏は能登半島で発生した地震や豪雨災害への国交省の対応を説明した。