Atos/地域建設業のICT施工導入を支援/実体験通じ利便性訴求

2025年9月9日 企業・経営 [3面]

文字サイズ

 土木工事業を手掛けるAtos(埼玉県加須市、渡邊直也社長)が、地域建設業のICT施工導入を支援している。DX推進のポイントを「実体験」と捉え、福島県白河市に保有する大規模実証・教育拠点「Atos Village」を活用。参加者が実機を操作しICT施工の利便性を体感できる場を提供し、導入のきっかけにつなげる。教育や研究を通じて地元企業のネットワーク形成にも貢献している。
 同社は建設業界の人手不足解消を目指し、自社施設を教育の場として社外に開放している。起工測量から3D設計、ICT施工、出来形管理までを実機で学べるプログラムを用意。マーケット事業部の正木康太部長は「ICTに対する心理的ハードルを下げ、地方の建設会社の導入を後押ししたい」と語る。
 今後は分野別に特化したプログラムを整える。教育機関や企業との連携も進め、技術習得度を評価する仕組みを導入し、若手人材のキャリア形成にも結びつける考えだ。
 長年インドネシア人技能実習生を受け入れてきた経験を踏まえ、2026年からは建機免許取得やICT施工教育にも取り組む。外国人材のスキルを高めて地域建設業の人手不足に対応。同時に帰国後の母国でのキャリア形成も支援する。
 Atos Villageの敷地面積は約45万平方メートル。24年にDX建設ヤードが完成し研修棟、自動運転エリア、宿泊施設も整備した。人材育成の場であると同時に自社製品の実証、ゼネコンや建設機械メーカーが自動運転、新工法を検証する拠点にもなっている。
 今後は林業や農業、酪農など機械産業全般の教育や実証にも広げ、東北地方の産業人材が集う場とする方針だ。正木氏は「新技術を研究できる地域拠点とすることが目標だ。業種ごとの魅力を感じながら最新技術を学び、地元企業とつながれる場になれば、地方創生のモデルとして全国に展開できる」と展望を示す。