矢作建設工業は、愛知県長久手市の同社研究施設「エンジニアリングセンター」を改修し、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の五つ星を超えるZEB認証と、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)のウエルネスオフィス認証でSランクを取得した。断熱機能の強化や太陽光発電の導入、執務環境の改善などさまざまな取り組みで建物の省エネを実現し、利用者の健康や快適性を保つ。
エンジニアリングセンターは研究棟と実験棟で構成する=写真(矢作建設工業提供)。省エネの取り組みは、研究棟の屋根の断熱性強化、空調機器の適正化、照明制御などを実施しエネルギー消費量を50%削減。実験棟の屋上に太陽光パネルを設置しエネルギー消費量の76%分を創出する。
研究棟は空間ゾーニングを見直すとともに、各ゾーンのコンセプトに合わせインテリアや家具を配置。執務室は集中、リラックス、コミュニティーの三つのゾーンに分け、仕事内容に合わせて執務場所を選択できるようにした。デジタルサイネージで各ゾーンの温度、湿度、二酸化炭素(CO2)のほか太陽光発電の状況なども確認できる。同センターで技術開発した集成材と鋼材のハイブリッド部材「Y’s木鋼ブレース」を設置し耐震性も向上。太陽光発電と蓄電池を導入したことでBCP(事業継続計画)も向上した。
改修は8月に完了した。今後は温度や湿度、電力使用量の測定、アンケートなどデータを収集・分析し運用面の改善を図る。データを蓄積し技術向上を図ることで顧客への技術提案にもつなげていく。