インフロニア・ホールディングス(HD)の三井住友建設に対する株式公開買い付け(TOB)が18日に成立した。インフロニアHDの岐部一誠社長は「エンジニアリング力をより強固にし、さまざまなインフラで(設計から施工管理、運営など事業全般を)ワンストップで手掛ける唯一無二の企業集団に近づける」とコメントした。近く連結後の影響を織り込んだ2026年3月期通期業績予想と中期経営計画(28年3月期)を公表する。
TOBは8月6日から今月18日まで実施し、1億2646万4423株の応募があった。買い付け予定の下限は1億0458万9800株。取得価格は758・7億円(1株当たり600円)。TOBが成立したため、残る株式はスクイーズアウトで取得する。三井住友建設はTOBの決済を開始する26日付でインフロニアHDの連結子会社になる。スクイーズアウトの実施後、三井住友建設は所定の手続きを経て上場を廃止する。
岐部社長は「これからが本当のスタートで、経営統合に向け身が引き締まる思い」とした上で、インフロニアHDが近く更新する中期経営計画で「高い目標を設定する」方針を明らかにした。さらに「目標達成にはHD、グループ各社の不断の改革が必要になる」ため、「グループ全体で組織運営をより効率化する」考えだ。
三井住友建設はプレストレストコンクリート(PC)橋梁や、独自の工期短縮技術を使った超高層マンションなどで業界トップクラスの技術力がある。海外事業の実績も豊富だ。両社は経営統合を機に、請負・脱請負の幅広い領域でエンジニアリング力を生かし、シナジー(相乗効果)の具体化を目指す。
合意事項では、前田建設と三井住友建設の両方が強みを発揮できる分野の工事は、リソースなどを1社だけで入札するか、JVを組んで対応するかを決めていく。前田建設と三井住友建設の合併など、事業会社の再編は当面実施しない方針だ。