◇探求し分かりやすく伝える
「探求するのが自分に向いている」。そんな思いが建設コンサルタントの道を選んだ理由だ。貯水池や河川の水質分析に取り組み、浄化や悪臭防止など地域の暮らしを守る施策を考えている。水の出入りや住民との関わりを調べ、限られた予算をどう生かすか発注者と調整を重ねる。地道な積み重ねでオーダーメードの対策を作り上げる姿勢に誠実さがにじむ。
対外的な説明では、一つの言葉がどう響くかを気にかける。夏場にプランクトンが繁殖し、カビ臭の原因物質が検出されることがある。資料に「カビ臭」と記したところ、水域の管理者から「体に有害との誤解を与えかねない」と指摘され、「雨上がりの土の匂い」に言い換えた。柔らかい言葉に置き換える工夫は、相手への思いやりだろう。
発注者との打ち合わせも限られた時間での勝負だ。専門用語は極力省き、要点は太字で強調する。短時間でも内容をつかんでもらえるように工夫する姿勢は、相手を気遣う誠意の表れでもある。
入社して9年目。本人は「水質や水環境に特化した技術者になりたい」と将来を見据える。物質分析の専門資格・環境計量士の取得を目指す姿は、まっすぐで頼もしい。「データの見方を知れば気づきが広がる」と語る目は真剣そのもの。仕事への情熱を話す姿は、思わず応援したくなる魅力にあふれている。
(おおいし・なつほ)