大成建設の東洋建設に対する株式公開買い付け(TOB)が24日に成立した。8月12日からのTOBに5830万5532株の応募があった。買い付け価格は1株当たり1750円で、取得価格は1020億34百万円。TOBの成立を踏まえ、大成建設は残る株式をスクイーズアウトで取得する。所定の手続き後、東洋建設は上場廃止になる。
東洋建設はTOBの決済を開始する30日付で大成建設の連結子会社になる予定。東洋建設の株式の約3割を持つヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)がTOBに応募。約2割を保有していた前田建設はTOBに応募せず、東洋建設が実施する自己株式取得に応じる。
経営統合で陸海相互補完の関係が形成される。従来はすみ分けられてきた陸上・海上の施工領域にとらわれない幅広い分野での協業が可能になる。土木事業はJV組成による落札率の向上とともに、民間大型案件で陸海共同提案による受注増加を目指す。建築事業はより大型で高収益な案件、設計・施工一括(DB)案件の受注増加もにらむ。
洋上風力発電事業では両社がそれぞれ開発、実証している浮体式の実用化を推進。陸上系統工事と洋上風力ケーブル敷設の共同受注も視野に入れる。
事業全般でDXの推進や設計・積算業務の高度化による生産性向上、主要資材の集中購買、知名度を生かした採用の強化にも期待し、設備投資のさらなる推進も見込む。