◇復興の軌跡共有、次世代に教訓継承
2015年に関東・東北地方を襲った豪雨に関連し、関東地方整備局ら9者が茨城県常総市で「常総水害から10年」と題した式典を28日に開いた。約1350人が出席。復興に向けて取り組んできた10年の軌跡を共有し、水害の教訓を次世代に継承していくことを誓った。
15年9月9~11日の豪雨で、関東・東北地方は線状降水帯の影響もあり、24時間で551ミリの雨量を記録した。豪雨の影響で鬼怒川の流量は急増。常総市三坂町付近は堤防が決壊し、約4000ヘクタールが水につかった。国土交通省は災害協定を結ぶ日本建設業連合会(日建連)に対応を要請。協議に基づき、上流工区を鹿島、下流工区は大成建設が施工した。2週間という短期間で復旧工事を完了した。
水害の風化防止と防災意識の高揚を目的に、関東整備局と茨城県や沿川7市町は、式典とシンポジウムを常総市地域交流センターで開いた。主催者を代表し神達岳志常総市長は「全国に先駆けてマイ・タイムラインの作成を呼び掛けるなど防災分野の施策を強化してきた」とこの10年を振り返った。続けて「防災の取り組みに終わりはない。総力を挙げて次の世代に伝えていく」と訴えた。
同席した大井川和彦茨城県知事は「(国や県、7市町が進めていた)鬼怒川緊急対策プロジェクトも5年で完了した。今後は田んぼダムの整備にも取り組む」と語った。橋本雅道関東整備局長も「整備局では外国人向けにマイ・タイムライン講習会を開催している。過去の教訓を生かし、これからも防災・減災の取り組みをしっかり進めていく」と力を込めた。
式典では「未来へ繋(つな)ぐ行動宣言」と題し、防災教育を通じた人材育成の継続や地域防災力の向上などを誓った。常総水害をきっかけに防災士の資格を取得した芸人の赤プルさんが基調講演。水海道第二高校書道部による書道パフォーマンスも行われた。