竹中工務店ら/都市型自動運転船を実証実験/観光事業などでの社会実装めざす

2025年10月16日 企業・経営 [8面]

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 竹中工務店らが開発を進める都市型自動運転船「海床(うみどこ)ロボット」の第5回実証実験が、7~9日に大阪城公園(大阪市中央区)の東外堀で行われた。同ロボットは3メートル四方の床状の水上モビリティで、純国産制御システムを搭載。実験ではLiDAR(ライダー)センサーを使った位置制御と自動運転が可能なことを実証し、今回で技術面の検証を終えた。今後は観光事業などでの社会実装を目指す。
 水上モビリティの自動運転では、ロボット自身にセンサーを搭載すると処理する情報量が膨大になり、電力供給が課題となる。同ロボットのプロジェクトチームは、陸地にLiDARセンサーを複数台設置して高精度の点群データを構築し、ロボット自身が処理する情報量を大幅に絞り込んでこれを克服した。
 人や物の移動のほか、水上カフェやステージ、清掃など用途は幅広い。開発を担う同社まちづくり戦略室の高浜洋平シニアチーフエキスパートは「観光事業以外にも無人での測量や作業などさまざまな活用方法を検討していきたい」と展望する。
 実証実験は大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」の支援を受けて実施。実証希望企業に対し、公有地の提供や行政・関係団体との調整支援などを通じて技術の実用化を後押ししている。