国土交通省は、道路地下空間にある構造物を適切に維持管理するための議論を始めた。道路管理者と占用者が地下空間を一体的に管理する体制の構築や、関連情報のデジタル化と統合などを進める考え。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け有識者会議が検討している対策の動向を踏まえ、詳細を詰める。
国交省が7日に開いた社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)道路分科会基本政策部会(部会長・石田東生筑波大学名誉教授)で議題とした。
部会では、管理者と占用者が空洞や路面変状などの地下空間を一体的に管理する体制の構築や、竣工図面や新技術を活用した位置情報の精度向上などで、引き続き検討する方針を確認した。
国交省は現在、占用物の施設情報をデジタル化・一元化して表示できる「道路空間情報プラットフォーム」を構築している。同一の地図で地下空間の情報(占用物・路面下空洞の調査・舗装の点検、地質、液状化など)を重ね、確認できる仕組みになる見込みだ。
電線・電柱、上下水道管といった埋設物を設置する際、事業者が管理者に提出する占用許可申請の在り方も議題になった。現行制度では、提出義務は工事内容や構造などに限られ、工事後の維持管理状況を管理者が把握する規定はない。部会では、竣工図面や位置情報図面の提出を義務付ける必要性が示された。
埋設位置が図面と異なる占用物の把握や、不明管、過去工事の仮設物など、全容把握の難しさも課題に挙がった。国交省は、内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を活用した技術開発が必要と説明した。工事の効率化は、舗装や上下水道管工事などを長期で共同施工する事例が紹介された。
委員からは「地下占用物の設置は交通量など道路条件を踏まえて検討すべきだ」「防災・国土強靱化の取り組みとして、しっかり推進してほしい」などの意見が出た。










