上場ゼネコン大手4社/25年4~9月期決算、全社増益/国内建築で採算改善

2025年11月12日 企業・経営 [1面]

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 上場ゼネコン大手4社(鹿島、大林組、大成建設、清水建設)の2025年4~9月期連結決算が11日に出そろった。豊富な手持ち工事を順調に消化し、2社が増収。採算管理や施工段階のリスク管理を徹底し、追加・設計変更工事の獲得や原価低減も進展した。全社が増益となり、単体の完成工事総利益(粗利益)率は建築を中心に改善した。26年3月期は利益率の一段の好転を見込み、3社が通期業績予想を上方修正している。
 連結売上高は鹿島と清水建設が増収。大型案件の進捗が寄与し、鹿島は過去最高を更新した。土木、建築ともに前年同期を上回った。一方、大林組と大成建設は国内大型建築工事の反動減で減収となった。
 営業利益は全社が前年同期の実績を上回った。鹿島、大林組、大成建設が過去最高を更新した。単体の粗利益率も4社そろって改善し、特に建築での改善が顕著だった。建築の粗利益率は、鹿島が前年同期比2・5ポイント上昇の11・3%、大林組が7・1ポイント上昇の13・7%、大成建設が6・9ポイント上昇の10・7%、清水建設が1・9ポイント上昇の8・5%となった。
 受注高は3社が増加し、大成建設は国内大型建築工事などの受注で過去最高を記録した。
 26年3月期の連結業績予想は鹿島、大林組、大成建設の3社が期初予想を上方修正した。建築を中心に高採算案件への切り替えが進み、利益率のさらなる改善を見込む。鹿島は売上高、営業利益、純利益で過去最高を予想。大成建設は連結子会社化した東洋建設の業績も織り込んだ。
 各社は今後数年、国内で再開発やデータセンター(DC)、国土強靱化、防衛関連施設を中心に底堅い需要が続くと予測する。海外では米関税政策や為替動向を注視する。国内では人件費や資機材価格の上昇、高止まりを背景に、事業費が膨らみ中止や延期を決断する案件も見られる。各社は施工体制に見合った受注戦略の徹底やM&A(企業合併・買収)なども視野に入れ、安定成長や収益力のさらなる強化につなげる。