関東整備局/3Dプリンターで護岸ブロック製作/荒川第2調節池建設で試行導入

2025年11月17日 技術・商品 [1面]

文字サイズ

 国土交通省関東地方整備局は、埼玉県内で進む「荒川第2調節池」の建設工事で、護岸ブロックの製作に3Dプリンターを試行導入している。対象は調節池の排水門付近に整備する護岸のうち、加工が難しい曲線部分。設計図通りに成形できるため、省力化や危険作業の軽減が期待されている。
 3Dプリンターで作ったブロックは、関東整備局が工事発注する同調節池の排水門池内水路付近に設置される。施工は飛島建設。建設用3Dプリンターなどを手掛けるPolyuse(ポリウス、東京都港区、岩本卓也代表取締役、大岡航代表取締役)が納入。護岸全体(約600平方メートル)のうち、72平方メートル相当のブロック製作を自動化する計画だ。
 プリンターは横3・7メートル、縦3・4メートル、高さ2・8メートル。曲線部のブロックサイズは横幅が約0・7~1・8メートル、縦が1メートル。16センチの厚さで1日に4枚程度が製作できる。プリンターは3DCADのデータを読み込み、モルタルと水を混ぜた材料をノズルから吹き出して型枠を製作。空洞に生コンクリートを流し込んで仕上げる。型枠に使用する二つの材料はポリウスの独自配合で、現場環境に応じて調整する。
 護岸は所々で微妙にカーブしている。これまでは作業員が回転工具で設計通りに成形していた。作業は多くの労力が必要で、工具の使用はけがのリスクもあった。関東整備局の米沢拓繁荒川調節池工事事務所長は3Dプリンターを「省力化に貢献する新たなツール」と評価している。
 14日に国交省や埼玉県の職員、15日には土木学会関東支部(杉山太宏支部長)主催の親子見学会で実機を披露した。