JS/卵形消化タンク築造の現場公開/大型型枠で施工性向上、工期短縮

2025年11月12日 技術・商品 [4面]

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 日本下水道事業団(JS)は、長野県松本市の両島浄化センターに建設している「卵形消化タンク」の工事現場を報道関係者に10日公開した。下水汚泥を細菌消化で減量し、発生したメタンガスなどを取り出す施設。タンクは卵のような形状で、大型型枠を使った工法で施工性向上や工期短縮を実現している。施工は守谷商会。
 卵形消化タンクは地上高16・3メートル、地下部分も含めると約23メートルの高さで、最大内径16メートル、容積約2700立方メートルのサイズ。PC製のタンクは耐久性や水密性、効率性に優れ、発生ガスの収集も容易なのが特徴で、全国の下水処理場に導入されている。両島浄化センターは1998年に卵形消化タンクを初導入し、メンテナンスや非常時のバックアップとして2基目を設置している。
 工事に当たり、オーストリアのRSB製大型型枠工法を導入し、施工効率を高めた。地組みした大型型枠をクレーンでつり上げ卵形の外枠を形成。1回のコンクリート打設量を大幅に増やせ、打設回数の低減で工期短縮が可能になる。打ち継ぎ箇所を減らす効果で水密性も高まる。外部にブラケット足場を設けることで作業性の向上や作業員の安全確保にもつながる。
 工事の進捗率は11日時点で約55%。下半分のコンクリート打設が完了し、上半部の打設に向けた鉄筋構築と下半分のPC緊張作業を実施している。監理技術者と現場代理人を務める青沼亮二氏(守谷商会)は「水密性が求められる構造物なので締め固めなどをしっかり行い、ひび割れなどがないよう気をつけている」と施工のポイントを説明。当初予定で13回だったコンクリート打設回数は6回に減ったが、1回の打設量が増えたため「コンクリートの一体化に特に気を配っている」としている。