労働政策審議会(労政審、厚生労働相の諮問機関)の安全衛生分科会は25日、改正労働安全衛生法などの施行に伴う関係省令改正案の要綱を審議し、了承した。安全衛生対策を強化する対象建築物の範囲が広がることで、占有部分以外の災害防止措置として「墜落危険箇所の防護」や「安全な通路の保持」などが新設される。機械関係の労災防止の規定も見直しされることになる。
審議の結果、答申の手続きが進んでいく。改正労働安全衛生法では、現場の一人親方をはじめ個人事業者の災害防止の取り組みを強化する。省令改正は、労政審の1月の建議「今後の労働安全衛生対策について」を踏まえ、必要な措置も講じる。
改正案によると、建築物貸与者の措置義務の範囲が「事務所または工場の用に供される建築物」から「事務所、工場その他の事業の用に供される建築物」に拡大されることで、労働災害防止のための必要な措置に新たな規定を設ける。労働安全衛生規則には、高さ2メートル以上の作業床の端や開口部などの危険箇所に囲い、手すり、覆いなどを設けることが追記される。囲いなどを設けるのが著しく困難な場合は、防網を設けたり、立入区域を設定したりする措置を講じることも追記される。第30条に関連し、「関係請負人の労働者」を「関係請負人に係る作業従事者」に修正することなども定める。
改正する省令は、「クレーン等」に含まれるクレーン、デリック、エレベーター、建設用リフト、「移動式クレーン等」の移動式クレーン、ゴンドラの製造許可申請審査について、登録設計審査等機関が行えるようになる設計審査と、製造許可の申請方法などを定める。同機関となるための手続きと、製造時等検査の対象を移動式クレーン、ゴンドラに拡大することなども定める。
施行日は2026年4月1日。運用に当たっては通達などで今後詳細を示す事項がある。「元方事業者による建設現場安全管理指針」が改正されることになっており、会合で使用者代表の福永忠宣委員が、デジタル技術の進歩などを踏まえ、改正に合わせて労働者管理の手法を見直すよう提案した。






