八潮道路陥没事故対策検討委/金子恭之国交相、法改正に言及/最終提言を手交

2025年12月2日 行政・団体 [1面]

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 埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、国土交通省が設置した有識者会議は1日、第3次提言を金子恭之国交相に手渡した=写真。家田仁委員長らが東京・霞が関の国交省を訪れ、提言書を提出。金子国交相は「法令を含む諸制度の見直しの検討を加速化するとともに、補正予算も含め、国土強靱化実施中期計画に基づき、必要な予算をしっかり確保する」と応じた。
 提出したのは「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」による第3次提言。提言では下水管路にとどまらず、インフラ全般のマネジメントの在り方を見直すよう求めた。
 新たなインフラマネジメントとして掲げた柱は、▽二つの「見える化」▽二つの「メリハリ」▽現場に「もっと光を」▽統合的「マネジメント」の構築▽改革促進のための「モーメンタム」-の五つ。家田委員長は事故を受け、金子国交相に対しメリハリのある対策の実行を強く求めた。
 膨大なインフラを従来通りに管理するのは非効率だと指摘。「インフラ全体の軽量化」が重要だと訴えた。さらに「下水道に限らず、道路や橋梁、港湾、鉄道など、あらゆるインフラに共通して大きな変革が必要だ」と述べ、インフラ全般のマネジメントを抜本的に見直すよう提案。「現場で働く人に光を当てる」ため、財源確保、財政措置、国民の使用料金による「三位一体の改革」を申し入れた。
 第3次提言では、過酷な作業に従事する現場の人々に適切な賃金が支払われるよう、少数量・多工種のメンテナンス工事の実態を踏まえ、直轄工事で自治体の参考となる歩掛かり設定や積算の取り組みを求めている。技術系職員の配置や人材養成が厳しい自治体に対しては、インフラを効率的にマネジメントする「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」の活用を提案している。
 同日会見した家田委員長は、「下水道は完全に自治体が担う仕事で、道路も大半は市町村や都道府県が管理している。インフラマネジメントは、自治体が真剣に取り組める体制にしなければならない」と指摘した。