阪神高速道路・上松英司社長が会見/脱炭素技術の開発に意欲/低炭素コンクリ実装など

2025年12月4日 人事・動静 [12面]

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 阪神高速道路会社の上松英司社長が2日、大阪市北区の本社で会見し=写真、カーボンニュートラル(CN)に関連する技術開発を加速する考えを示した。高速道路事業での脱炭素化を目指し、二酸化炭素(CO2)を貯蔵したカーボンネガティブコンクリートやペロブスカイト太陽電池などの実装に意欲を見せた。
 環境に配慮したコンクリートの技術開発は「現在数社と共同研究を行っている」とし、セメントの代わりに高炉スラグや工場の排ガスなどから回収したCO2を吸収させた材料を使うコンクリートの事例を紹介。既に中央分離帯の一部に試験施工を行っており、今後も適用構造や要求性能などを検証し「CO2排出量収支がマイナスとなるカーボンネガティブの実現を目指したい」と展望を語った。
 再生可能エネルギーの技術開発(太陽光発電)にも力を注ぐ。上松社長は従来のシリコン太陽電池に比べ発電効率が高く、薄くて軽い特徴を持つ新技術「ペロブスカイト太陽電池」に着目し、実証実験を行っていることを紹介。「発電効率や発電量、耐久性、既設の高速道路施設への適用可能性などを検証し、実装を目指す」と力を込めた。
 会見ではネットワーク整備の現状も報告。淀川左岸線(2期)・延伸部、大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線の工事進捗を説明した。大阪・関西万博の開催期間中にシャトルバスのアクセスルートとして暫定活用された淀川左岸線(2期)については「工事を再開し、引き続き大阪市と共同で完成形に向けた工事を展開していく」とした。
 淀川堤防とトンネルが一体構造の淀川左岸線延伸部は、トンネル部の設計検討や仮堤防設置に向けた国との調整、大阪湾岸道路西伸部は開削トンネル工事(駒栄地区)や海上部長大橋(新港・灘浜航路部)の詳細設計を進めていると説明。万博期間中は交通に影響を及ぼすような工事を控えていたリニューアルプロジェクトも、15号堺線湊町付近(鋼製基礎の補修、構造改良)などで着実に事業を進める方針を示した。