地元の自治体が発行する広報誌を愛読している。好きなコーナーは「伝言板」。地域のサークル活動や催し物などさまざまな掲載情報の中で、先日はある体験会の案内に目が止まった▼それは話の内容をその場で素早く要約して伝える「要約筆記」体験。手話では情報が取れない聴覚障害者にとって重要なコミュニケーション手段の一つだが、多くの地域で要約筆記者が不足しているという。体験会の開催にはそうした背景もあるようだ▼聴覚障害者のための「第25回夏季デフリンピック東京大会」が先月開かれ、12日間の会期中に約28万人が来場した。過去最多となるメダル51個を獲得した日本勢の活躍もあり、大会は大きな盛り上がりを見せた▼大会運営委員長の久松三二氏は閉幕を迎えて「大成功と言える。共生社会を築くための大きな一歩」(時事)と述べた。障害者スポーツや環境整備に対する社会の関心も高まったと言われ、これをどう持続させるかが課題だろう▼要約筆記について調べるきっかけになるなど、伝言板コーナーで得られる「気付き」は少なくない。伝言板は人と人、人と情報を優しくつないでくれる。








