建築家・坂茂氏、AIAゴールドメダル受賞/日本人で4人目

2025年12月9日 人事・動静 [1面]

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 建築家の坂茂氏(坂茂建築設計代表)が、2026年米国建築家協会(AIA)ゴールドメダルを受賞した。建築の理論と実践に永続的な影響を与えた個人に贈る賞。坂氏は「今後も建築家としての自らの作品づくりと社会的役割を全うすべく活動を継続していく」とコメントしている。日本人の受賞は丹下健三氏、安藤忠雄氏、槇文彦氏に次いで4人目。
 坂氏は1957年東京都生まれ。84年に米クーパー・ユニオン建築学部を卒業。坂茂建築設計を85年に設立し、その後米ニューヨークと仏パリに事務所を構えた。建築家として活動し始めた80年代から再生紙を建築資材に使う独自の構造を開発。作品づくりと並行し、世界各地で災害支援活動にも取り組んでいる。
 AIAは選出理由を「紙や木材などの再生可能な素材を用いて、災害用シェルターや『紙のカテドラル』(ニュージーランド)のような強靱で持続可能な建築を生み出し、建築界に革命をもたらした。30年以上にわたり教育者としても活動し、学生が実際に手を動かして学ぶプロジェクトを通じて、建築が持つ持続可能性と社会奉仕の可能性を示している」としている。
 坂氏の代表作は仏ポンピドー・センター メス(2010年)、NZ紙のカテドラル(13年)、大分県立美術館(14年)、仏ラ・セーヌ・ミュジカル(17年)、静岡県富士山世界遺産センター(17年)、瑞スウォッチ・オメガ本社(19年)、下瀬美術館(23年)、豊田市博物館(24年)、ブルーオーシャン・ドーム(25年)など。受賞歴は仏芸術文化勲章コマンドゥール(14年)、プリツカー建築賞(同)、マザー・テレサ社会正義賞(17年)、アストゥリアス皇太子賞平和部門(22年)、高松宮殿下記念世界文化賞建築部門(24年)。17年紫綬褒章、25年文化功労者、25年3月から日本芸術院会員。