青森県東方沖を震源とした8日深夜の地震では、発生直後から沖合津波の情報が相次いだ。防災科学技術研究所(防災科研)や気象庁など複数機関の観測機器がデータを集め、分析結果が即時の警戒に直結した▼防災科研は日本海溝海底地震津波観測網(S-net)として、北海道沖から千葉房総沖にかけて海底に地震計や水圧計を配備し、光海底ケーブルで膨大な情報を送信する。いずれも東日本大震災後に整備された体制だ▼気象庁は9日に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表。政府は警戒態勢を緩めず、今後1週間は「特別な備え」や「備えの再確認」に万全を期してほしいと、国民に訴えている▼日本海溝・千島海溝沿いでは、モーメントマグニチュード(Mw)7級の地震が起きた後、Mw8を超える巨大地震が発生した例がある。内閣府によれば確率は100回に1回だが、海溝型地震が起これば、社会基盤が一気に機能を失われる可能性もある▼地震対応の最前線で、国土交通省幹部は「家屋やインフラが損傷した。次が来るかもしれない。全員で備える」と語った。沈着な声の奥に、強い危機感が満ちていた。








