回転窓/建築の21世紀が始まる

2025年12月26日 論説・コラム [1面]

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 21世紀の最初の四半世紀が終わりに近づき、新たな時代の幕開けを迎えようとしている。この25年で技術革新やグローバリゼーションが急速に進展。私たちの生活は劇的に変わった▼建築はその時代の社会、文化、技術、政治的価値観を映し出す鏡であるといえよう。単なる機能的な構築物ではなく、人々の生活様式や思考様式に影響を与え、またそれらによって形成される存在だ▼大阪・関西万博で会場デザインプロデューサーを務めた藤本壮介氏は「標準化されたものを繰り返すという近代から、多様なものが多様なままさまざまな関係を結ぶという時代へと大きく変化し始めている」(『新建築』2025年12月)と時代を読む。「変化の最初の時代にわれわれはいる」とも▼モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエは近代建築の五原則を1926年に提唱。近代建築の方向が定まり建築の20世紀が始まった。21世紀にふさわしい建築も、間もなく姿を現すのだろう▼社会課題が複雑化、高度化する中、どのようにして境界を越え、多彩で柔軟な協働や連携から共創をどう生み出していくのか--。建築界の動きに注目したい。

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