自信と慢心は、刃先の角度がわずかに違うだけの包丁のようだ。切れ味は似ていても、扱いを誤れば手元を傷つける。その差に気づかず、自分の役割を見誤る人は少なくない▼彼らは組織の要求という地図より、我欲のコンパスを優先する。時に地図を読まずにコンパスを握って走り、「自分だけが正しい」という錯覚に陥る。「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクション」(アインシュタイン)。慢心とは、自分が世界のすべてと思い込む未熟さだ▼真の大人と子どもの違いは、地図とコンパスを両立できるかにある。大人は最短ルートだけでなく、危険や寄り道の意味も読む。子どもは一直線に走るが、先に何が待つかまでは思い描かない▼ピーターパンを気取る人は、ずっと飛べると信じる。自由に見えても、向かい風や羽を休める場所を知らない。技量と責任を学ばぬ限り、羽ばたきは風に乗った幻、すぐに地面へ戻される▼組織はネバーランドではない。求められるのは現実を動かす力だ。自信は羽ばたく原動力、慢心は羽のほころびを隠す。役割を見極め、欲求と要求の重心を保つことこそ、大人の飛び方だろう。








