回転窓/人の心理と錯覚

2026年2月9日 論説・コラム [1面]

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 人が「だまされた」と分かっていても楽しめるものと言えば、それはマジックであろう。視覚や心理の錯覚を利用した巧みな演出に、不思議な世界へいざなわれてしまう▼最古のマジックはおわんと玉を使った「カップアンドボール」ではないかともいわれる。古代エジプトの壁画に描かれているとの説もあり、歴史はかなり古い。橋場正尚さんのマジックエッセー『手品の部屋へようこそ』(22世紀アート)から知った▼人を悪質な手口でだます犯罪が後を絶たない。警察庁のウェブサイト「SOS47特殊詐欺対策ページ」によると、2024年の特殊詐欺は約2・1万件発生し、総被害額は約718億円に上る。これほど多くの犯罪が起きていることに改めて驚かされる▼手口は振り込め詐欺や預貯金詐欺、架空料金請求詐欺、SNS型投資詐欺など多様化している。被害に遭わないためにも過去の犯罪事例を知り、正しい知識と警戒心を持ちたい▼マジックで駆使するのは、観客の注意をそらす「ミスディレクション」という技術。心理の裏をかいても許されるのは、やはり拍手で終わるエンターテインメントの世界に限る。

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