関東整備局/利根川近代改修150年でシンポ開く/流域治水の重要性再認識

2026年2月12日 行事 [5面]

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 1875年に近代土木技術を駆使して利根川の改修が行われてから、今年で150年の節目を迎えた。関東地方整備局は9日、さいたま市内でシンポジウムを開き、洪水対策の歩みを有識者らが紹介し流域治水の大切さを再認識した=写真。
 150周年の起点は、オランダ人技師の指導で江戸川に舟運路を設けた工事。以来、さまざまなプロジェクトを計画、実施してきたが、深刻化する温暖化の影響もあり、自然災害は発生頻度が増し被害規模も大きくなっている。
 「利根川近代改修150年の軌跡と未来」と題したシンポジウムには、対面とウェブを合わせて約600人が参加した。席上、主催者を代表して橋本雅道局長は、2019年に東北や関東地方を襲った台風は堤防が決壊する危険性があり、「極めて危険な状態だった」と振り返った。試験湛水中だった八ツ場ダム(群馬県長野原町)をはじめ整備してきた河川施設が効果を発揮し、「甚大な被害を防ぐことができた」と語った。
 来賓の林幹雄利根川治水同盟名誉会長は「治水と利水の両面で効果を発揮している」と八ツ場ダムが果たす役割を紹介。「流域治水を次世代につないでいくのが使命だ」と今後を展望した。同じく治水同盟会長の浜田靖一衆院議員も「シンポジウムを契機に利根川流域の発展を期待する」と述べた。
 シンポジウムでは、関東整備局の室永武司河川部長が近代改修の歩みなどを話題として提供した。利根川で洪水被害が起こるたび、国は河川改修計画を改定してきた。1980年には「利根川水系工事実施基本計画」を策定。過去の気象データから「平均して何年に1回の割合で洪水が起こるか」という確率規模の考えを河川整備に導入し、「先手を打つ時代に移行した」と語った。
 現在、沿川自治体と議論している利根川水系の治水計画にも言及。上流域でダムや遊水地を強化する「令和の大改修」を推進しつつ、水害を「自分事」にする大切さを訴えた。
 基調講演では水災害・リスクマネジメント国際センターの清水義彦研究・研修指導監が治水の歴史を紹介した。19年に東北や関東地方を襲った台風に触れ、「仮に八ツ場ダムがなければ毎秒1万7000トンの水が利根川に流れていた」と分析した。
 利根川水系の河川整備計画では、洪水を安全に流す目標流量を2万1200トンに引き上げた。「約80年前に発生したカスリーン台風級の水災害にも対応できる流量だ」と期待した。
 シンポジウムでは、鈴木有千葉県野田市長と糸原清千葉県立関宿城博物館館長、気象予報士の伊藤みゆきと澤麻美の両氏に清水、室永の2氏も加わり、パネルディスカッションも行った。