回転窓/若い建築家の夢

2026年2月13日 論説・コラム [1面]

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 部屋に物を増やさないよう気を付けている。それでもあれやこれやと物は増え、徐々に狭くなる居場所。たまらず断捨離とともに模様替えを計画している。部屋を心地よい空間にと、悩み考えるのは楽しい▼さいたま市の別所沼公園内に、わずか5坪のワンルーム空間にベッドとデスクが配置された極小の別荘がある。小屋のような小さな家として有名な「ヒアシンスハウス」だ▼詩人で建築家の立原道造(1914~39年)が37年冬から翌春にかけ自らの別荘として構想。東京帝国大学卒業後、石本建築事務所で働きつつ、自然の近くに創作環境を求めた。2004年、スケッチを基に有志が建設した▼小空間ながら南東のコーナー窓、北の横長窓、西の縦長小窓が談話と執筆、就寝の場を巧みに分節する。豊かな狭小住宅には若い建築家の夢が詰まっている▼ヒアシンスハウスをはじめ20世紀の建築や芸術、工芸をテーマに理想の暮らしを見つめる企画展「美しいユートピア 理想の地を夢みた近代日本の群像」が東京都港区のパナソニック汐留美術館で開かれている。暮らしにまつわる過去をたずね、未来への手掛かりにしたい。

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