清水建設/東京木工場(東京都江東区)を全面建て替え/新たな木構造採用

2026年2月24日 企業・経営 [3面]

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 清水建設が段階的に建て替えてきた「東京木工場」(東京都江東区)が完成した。既存11棟の機能を新築した「工場棟」と「来客棟」に集約。木材利用の可能性を広げる構造を開発し、屋根や耐震壁などに多用した。エントランスの「森のギャラリー」と合わせ386立方メートルの木材を使っている。19日に現地で竣工式を開き、匠(たくみ)の心や技を伝える伝統儀式「検尺の儀」で、木工場の新たな門出を祝った。
 東京木工場の所在地は木場2の15の3。140年の歴史を継承する匠集団による工場と、木工教室や木育イベントを通し木材の普及を社会へ発信する施設という役割を果たしてきた。今回の建て替えを機に、木質構法の多様化に対応する技術開発センターの機能を付加。「木の文化・技術・魅力の発信拠点」として整備した。
 工場棟はS一部W造3階建て延べ3814平方メートルの規模。屋根架構(スパン15・9メートル)は上弦材に木材(圧縮力)、下弦材に鋼材(引っ張り力)を用いて柱のない大空間を実現した。1階に技術開発ゾーン、伝統技術ゾーンを2~3階に配置。外販する木工場製品も手に取ることができる。
 来客棟はS一部W造2階建て延べ1354平方メートルの規模。屋根架構(スパン10・8メートル)には、継ぎ手部分の弱点をつくらずに力を伝達する新しい仕組みを採用した。1階中央部の資料館には木工場が手掛けた有名建築の内装などを原寸展示。木工教室など木育イベントが開催できるスペースも用意している。
 新村達也社長は木がカーボンニュートラルやウェルビーイングなどの観点から社会的に注目されていると指摘。その上で「木の可能性は無限に広がっている。この木工場が一つの答えだが、到達点とは思っていない。木を生かす技術をさらに開発し社会に提供、還元していく拠点にしていきたい」と力を込めた。
 同社は1804年の創業以来、木の伝統技術を連綿と継承している。「宮大工の初代清水喜助からつながる木への思いを大切にしてきた。それが当社のブランドの一つ」(新村社長)。新しい木工場を木の文化、技術、魅力を発信する拠点としてブランディングにも活用していく。