島国日本の特性を生かした再生可能エネルギーでの発電事業が長崎県五島市で始まった。戸田建設らが参画するSPC(特定目的会社)五島フローティングウィンドファーム(五島市)が、五島市沖に国内初の浮体式洋上風力発電所を整備。21日に運転開始の式典を現地で開いた=写真上。風車を取り付けた円筒型の浮体を縦に浮かべた発電設備。深い海域でも設置できるため、四方を海に囲まれた日本の再エネ開発の試金石となりそうだ。
式典で戸田建設の大谷清介社長は「ハイブリッドスパー型(上部が鋼、下部がコンクリートで構成)の浮体は日本の土木・建築技術と海洋エネルギー技術の結晶だ。風車群は再エネの未来を照らす希望の象徴だ」と感慨深げに話した。その上で「風車が地域のエネルギー供給を支え、漁業など海を利用する方々と共存共栄するのが、私たちの目指す地域循環型社会の在り方だ」と説明した。
来賓の岸田文雄元首相、石原宏高環境相、大石賢吾長崎県知事、出口太五島市長らもあいさつした。
式典後、取材に応じた大谷社長は、五島市が2010年に環境省の浮体式洋上風力発電実証地に選ばれてからの道のりを振り返り「さまざまな困難や検討を重ねて今の形がある」と語った。海外で風車の大型化の動きがあることに触れ「今後、国内に風車が設置されていく上で(困難や検討が)大きな経験となる」との見方を示した。
浮体式洋上風力発電所「五島洋上ウィンドファーム」は、五島市福江島東側の沖合約7キロの地点から4キロにわたって8基の風車を配置している。浮体と風車を合わせた全長は176メートル。発電出力は1基当たり2・1メガワットで、8基合わせて16・8メガワットとなる。1月5日に商用運転を始めた。発電した再エネ由来の電力は市内に供給している。
国は排他的経済水域(EEZ)などでの浮体式洋上風力の案件形成に向け、水深500メートル以上や強風、高波といった条件の過酷海域で施工技術の実証に取り組む。戸田建設の浅野均執行役員副社長イノベーション本部長は「(実証に)積極的に応募したい」と意欲を見せた。
五島フローティングウィンドファームは、戸田建設のほかENEOSリニューアブル・エナジー(東京都港区、小野田泰社長)、大阪ガス、INPEX、関西電力、中部電力が参画している。






