コマツが建設機械の自動化で技術開発のアクセルを踏み込んでいる。国内では2027年度にダンプトラックの運行で自動化を目指している。AHS(鉱山向け無人ダンプトラック運行システム)の導入が進む海外では、次世代鉱山機械の基幹技術開発に注力する。デジタルソリューションと建機の両方で関連技術の開発を深化させ、建設現場の生産性と安全性につなげることで、「未来の建設現場」の実現を目指す。
同社は08年、海外の大型鉱山向けにAHSの商用展開を開始した。25年9月時点で940台が稼働している。米アプライド・インテュイション(カリフォルニア州)と協業し、次世代鉱山機械向けソフトウエア・ディファインド・ビーグル(SDV)と自動化車両のプラットフォーム開発も進める。
「建機をより賢く」し、安全性能や生産性を高めるための課題を解決するのが目的。SDVは衛星通信を用い、ソフトウエアを常に最新状態に更新する。使用者から寄せられる課題を迅速に改善しソフトウエアを順次更新することで、常に建機を最新の状態に保つ。
インシデント回避にはAIを活用する。障害物検知の精度を高めて車両の回避判断スピードを上げるなどして運行管理をレベルアップし、生産性向上につなげていく。
国内で稼働する建機の開発も進む。子会社のEARTHBRAIN(東京都港区、小野寺昭則社長)、自動運転スタートアップのティアフォー(東京都品川区、加藤真平代表取締役)と連携。土木・採石現場で稼働する建機向けの自動運転システムと管制システムを27年度までに実用化する考え。
対象は、アーティキュレートダンプトラック「HM400」(最大積載質量40トン)と、リジッドダンプトラック「HD785」(最大積載質量93・9トン)。27年度までの実用化を目指し、EARTHBRAINらと機能の開発と検証を進めていく。
実用化に向けては、システムのスペックを土木・採石現場向けの建機に最適化することが課題になる。大規模な海外の鉱山現場で稼働するAHSは、鉱山オペレーションの最適化を追求して高度化してきた。一方、土木・採石現場とは作業内容や規模、運用形態、求められる要件が異なる。こうした違いを踏まえ、土木・採石現場に最適な自動運転システム構築を目指す。
建機の自動運転で重要な管制システムの開発は、EARTHBRAINが担う。同社が展開する建設現場向けICTソリューション「スマートコンストラクション」など、既存のデジタル技術との連携も視野に入れながら、現場全体の最適化を目指す。土木・採石現場向けダンプトラックの自動化は、比較的早期に道筋を付ける。国が進める「i-Construction2・0」も普及面で追い風になると見る。
さまざまな用途で使用する油圧ショベルなどの建機は、完全自動化の可能性を模索している段階にある。しばらくは自動化する場所と人の手で行う場所が現場内でも混在していく可能性がある。コマツは状況を見極めながら、最適な作業の自動化を実現したい考え。遠隔操作技術と組み合わせ、現場の省人化や安全性・生産性の向上を図りながら、完全無人化につなげる。同時に強みとするマシンコントロール技術も深化する。






