地域元請有志で協議会発足/直営施工のノウハウ共有/技能者育成の全国標準確立へ

2026年3月3日 行政・団体 [1面]

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 公共土木工事を主体とする地域建設会社らが「直営施工」を推進する協議会を立ち上げる。山梨と長野、山口の3県をそれぞれ拠点とする3社が中心となり、エリアを超えて緩やかに連携。各地の現場で担い手不足や技術・技能の途絶懸念が強まる中、先々を見据えて元請の立場で「技能者を自社で雇用し、自社で育てる」直営施工体制を強化する。個社で培ってきた技能者育成のノウハウを持ち寄り、全国標準となる技能の研修・講習や検定制度の確立などを目指す。
 3日に長野市内で「(仮称)直営施工・次世代技能者育成協議会」の設立説明会を開く。発起人は湯澤工業(山梨県南アルプス市、湯沢信社長)、フクザワコーポレーション(長野県飯山市、福澤直樹社長)、井原組(山口市、井原昌二社長)の3社。国土交通省直轄工事などで直営施工を各社とも実践する。同じように地域に根差す同業他社を説明会に招き、賛同者を募った上で正式に発足する。
 直営施工を担う技術者・技能者育成の体系化が活動の核となる。国の技能検定制度で土木関係の職種は限られ、現状は個社で研修・講習や社内検定制度を運営している。フクザワコーポレーションはバックホウ操作と型枠組み立ての社内検定で長野県の認定を受けるが、厚生労働省の認定は要件が厳しく難しい。複数社間でテキストや研修・講習のノウハウを集約し、統一の検定制度を作り国の認定取得を視野に入れる。
 福澤社長は「元請が施工を担う人を自分で抱え、教育していかないと、自社も生き残れず、地域の業界も成り立たなくなる」と危機感をあらわにする。地域の担い手不足は元請以上に下請の専門工事会社で深刻化し、技能水準の地盤沈下も懸念される。元請として「施工管理」の部分だけでなく、今まで外注先に任せきりだった「施工」のノウハウや教育の部分も引き受けていく必要性を強調する。
 直営施工は高い生産性や付加価値の創造につながり得る。社員が多能工的に動くことで工程を円滑にこなせ、従来掛かった経費も削減できる。一方、仕事量が少なければ固定費がかさむリスクがあるなど、通常より複雑な現場運営や企業経営が求められる。協議会では高収益経営を実現するノウハウの体系化も掲げ、技能者を含む社員に高賃金として還元する狙いを示す。
 直轄工事を受注する企業規模で直営施工はまれだが、将来への危機感を抱く各地の建設会社が独自にネットワークを築き、先手を打つ意味は大きい。業界全体のうねりとなるか注目だ。