日建設計/共創拠点に地震体験ポート開設/災害レジリエンス向上へ関係者と連携

2026年3月6日 企業・経営 [1面]

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 日建設計は東京都千代田区の東京オフィス3階にある共創拠点「PYNT(ピント)東京」に、「地震体験ポート」を開設した。災害レジリエンス(回復力)向上を実現するための対話と検討の基盤とし、設計から地震後の建物機能復旧まで一貫した「レジリエンスサポートサービス」の関連技術を体験できる。事業者や地方自治体、企業など関係者と連携し、同サービスの共創・進化に取り組む。
 同社は中期経営計画(2026~30年)で受託プロジェクトを通じた社会課題解決を超え、自ら主体的に取り組む「社会課題解決型事業」を展開する。エンジニアリング部門構造エンジニアリンググループは、災害レジリエンスの向上を社会課題に設定。同サービスを開発・構築し、実用化や商用化を目指している。
 4日に地震体験ポートを報道機関に公開した。同グループ代表の杉浦盛基執行役員はPYNTに設置した狙いを「建物躯体だけでなく天井や設備、インフラなども含めた建築・都市のレジリエンスを考える。事業者やデベロッパー、設備会社、自治体、研究者など幅広い人たちと連携し、さらなる展開を共創の場で創出していきたい」と説いた。
 地震体験ポートには、▽VR(仮想現実)で地震時の揺れを疑似体験できる「SYNCVR(シンクVR)」▽地震時の建物被災度の把握を支援する「NSmos(NSモス)」▽地震後の建物早期復旧に貢献する「ダイレクトモニタリング」-などを展示。いまの時代にふさわしい「性能の伝え方」を形にした。
 計画地の地盤条件や建物条件(高さ、構造、階数など)に応じ作成した振動波形を用いてVR映像を生成。その波形に合わせて地震体験装置が同期する。VRゴーグルを装着し地震体験装置に乗ると、地震時の揺れと室内被害を疑似体験できる。耐震や制振など構造方式の違いで揺れ方も変わる。これまで専門的な表現で語られていた耐震性能を体験できるようになった。
 NSmosは地震後、建物管理者などが被災度を迅速に把握し、避難要否や継続使用可否の判断を支援するシステム。揺れの収束後2~3分を目安に判定。結果をリポート形式で提供し、被災度を5段階で示す。同ポートにはNSmosのシステムや判定リポートのサンプルを展示している。
 ダイレクトモニタリングは、S造の柱や梁に設置したひずみゲージ(構造部材が受けたダメージを測るセンサー)で地震のダメージを精度良く把握し、大地震後の調査の効率化や修復要否の判断を支援するシステム。地震のたびに蓄積するダメージをデジタルデータで収集して、大地震後にデータを詳細分析し調査範囲を絞り込み、修復が必要な部位の特定などに役立てる。同ポートではPYNTに設置されている、ひずみゲージの実物を展示した。
 同社は建築構造の設計者として計画期に耐震設計への関与にとどまらず、地震発生後の応急期、復旧期での支援を含めた一連のエンジニアリングサービスを充実させる。地震体験ポートの開設を機に共創事業を具体化させていく。