東日本大震災の発生から間もなく15年。東北の太平洋沿岸では、多くの地域でハード面の復興がほぼ完了した。ただ、福島第1原発事故に見舞われた福島県では、沿岸部などで復興がなお道半ばの状況にある。2026年度からの第3期復興・創生期間を前に、牧野京夫復興相は「福島を中心にさまざまな課題を解決していく」と述べ、政府一丸となった創造的復興に意欲を示す。
--震災から15年になる。
「復興に向けた取り組みを丁寧に、誠意を持って進めてきた。岩手、宮城、福島の3県とも、港湾や道路などのインフラ整備はおおむね完了した。一方、原子力災害からの復興が続く福島県では、帰還困難区域の問題や産業創出が課題だ。故郷に戻りたい方も多い中、その気持ちに十分応えられていない」
「今後も、被災地の未来に国が積極的に関わる姿勢は変わらない。福島の再生の大前提は福島第1原発の廃炉だ。2号機では燃料デブリの試験的取り出しに2回成功した。今後は大規模な取り出しが控え、難しい作業になる。技術開発を進めながら、廃炉に向けて着実に進めてほしい」
--復興の取り組みのポイントは。
「大震災の記憶や教訓を風化させないことだ。これまで培ってきたノウハウを、能登地域など他の被災地にも共有・発信する。福島イノベーション・コースト構想や福島国際研究教育機構(F-REI)を通じ、『創造的復興』を進める。ロボットやエネルギー、農林水産業など多分野でイノベーションを起こしてほしい。F-REIは24年度に設計、25年度から造成工事に着手した。28年度の完成、30年度からの施設の順次供用を目指す」
--公共施設やインフラの整備と維持管理の課題をどう捉えているか。
「公共施設の整備は、自治体や被災者と議論を重ねながら進めてきた。経済発展やコミュニティーの場として利用できる公共施設は、重要な役割を果たしてきた。一方で、自治体が抱える維持管理費の負担は重い。維持管理コストの縮減に向け、復興庁が窓口となり、関係省庁につないでいきたい」
--年内に防災庁の設置が見込まれている。
「防災庁には、事前防災から災害発生後の復旧・復興までをリードする司令塔としての役割を期待する。官民連携による被災者支援や各省庁への橋渡しなど、復興庁のノウハウを生かしたい」
--復興庁と防災庁の統合の可能性は。
「復興庁は、東日本大震災からの復興のために設置された組織だ。防災庁とは役割が明確に分かれており、統合の予定はない。復興庁は、26年度に始まる第3期復興・創生期間の5年で、福島を中心に課題を解決していく」
--建設業界が復旧・復興を担ってきた。
「建設業界の現場の力がなければ、15年間の復興はここまで進まなかった。福島では、除染作業の多くを建設関係の事業者に担っていただいた。これからも福島の特定帰還居住区域の除染や道路整備などでお世話になる」。
東日本大震災の復旧・復興に向けたハード事業やまちづくりなどを通じて得た知見や教訓を、どう次の世代につないでいくのか。牧野復興相、小野田泰明建築学会長、池内幸司土木学会長らに聞く。







