東日本大震災から15年/西村拓東北整備局長が会見/選ばれる圏域へ資源活用

2026年3月11日 行政・団体 [6面]

文字サイズ

 未曽有の大災害から15年。震源に近い東北の太平洋沿岸は、強烈な揺れと巨大津波により筆舌に尽くし難い被害を受けた。節目を迎え、東北地方整備局の西村拓局長は復興の歩みを振り返りつつ「復興の先を見据えた新たなステージに向けた取り組みが必要だ」と強調する。少子高齢化や物価高などの課題を乗り越え、地域資源を生かした「選ばれる圏域」づくりを目指す考えだ。
 東北整備局は震災直後から、一日も早い復旧の実現に向けて現場最前線で対応に当たってきた。迅速な道路啓開を実現した「くしの歯作戦」や、早急ながれき撤去による港湾の航路啓開などが復旧を大きく後押しした。西村局長は「建設業をはじめ皆さんの協力がなければ成し遂げられなかった」と回顧する。河川、道路、港湾といった基幹インフラの機能が異例の早さで回復し、復興道路・復興支援道路など、地域の暮らしや産業を支える基盤を徐々に形成してきた。
 一方、壊滅的な被害から生まれ変わった東北地方では、全国的に見ても少子高齢化が著しく、人口減少に歯止めがかからない。持続可能で選ばれるエリアとなるため、道路ネットワークのミッシングリンク解消による交通の活性化や、洋上風力発電プロジェクトの基地港湾整備などを通じて、地域のポテンシャルを最大限引き出すことが求められている。
 原子力災害の被災地で、いまだに多くの帰宅困難者が残る福島県の復興加速も欠かせない。「復興再生道路や防災力を強化する基盤づくりなども推し進める」と西村局長は力を込める。
 構築した社会資本の維持管理も課題となる。新技術を活用しながら効率的に予防保全を徹底する。複数の市町村にまたがる一定エリア内のインフラストック全般を一体的に管理する「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」を展開するなど、さまざまな施策を組み合わせ、総合力で改善に挑む。
 震災から時間が経過し、当時の経験の風化に危機感を抱く。「次世代へ教訓を伝え、未来の命を守る行動につなげることがわれわれの使命だ」と西村局長。広報や情報発信の強化、デジタルアーカイブの活用をはじめ、若者世代が関わりやすい活動の場づくりに取り組み、伝承活動を深化させる方針だ。震災対応などをまとめた「災害初動期指導心得」なども活用し、職員や国内外に実体験を共有する。
 震災後も、豪雨など災害の脅威にさらされている。「相次ぐ水害に対し、関係者が協働で取り組む流域治水や計画的な河川整備といった事前防災で被害を最小限にとどめる」ことで、災害に強い地域を目指す。洪水調整機能を持つ成瀬ダムや鳥海ダムなどのダム事業も着実に進める。
 震災時に共に前線で対応に当たり、インフラ整備や国土強靱化対策を進めるパートナーとなる建設業への期待も大きい。西村局長は「建設業の活躍で多くの人が救われた。地域の守り手としての重要な役割を、今後も果たし続けてほしい」とメッセージを送る。