関東整備局/利根川水系治水対策/戸倉、倉渕ダムで現況調査、藤原ダムは設計着手

2026年3月23日 行政・団体 [5面]

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 ◇“令和の大改修”始動
 利根川水系で効果的な流域治水対策を行うため、関東地方整備局は、事業を中断しているダムの活用で調査に乗り出す。上流で降った大量の雨水を安全に流すには、「中止ダム」の活用検討も必要と判断。群馬県内で戸倉(片品村)と倉渕(高崎市)両ダムの現況調査を実施し、藤原ダム(みなかみ町)は増強に向けた設計を行う。10年以上事業が凍結状態にある中止ダムの建設が再び動き出そうとしている。
 異常気象による豪雨災害から流域を守るため、関東整備局は2025年度に「利根川・江戸川河川整備計画」を見直した。同計画では、基準地点がある八斗島(群馬県伊勢崎市)の目標流量を1秒当たり2万1200トンに修正し、うち1万6300トンを河道拡幅などで対応する。残る4900トンは上流部にある既存ダムなどを「洪水調節機能」と位置付け増強する。
 治水対策の検討を進めていた関東整備局は整備メニューを盛り込んだ対応方針案を公表。既存ダムの事前放流に加え、下久保ダム(群馬県藤岡市、埼玉県神川町)の利水容量と藤原ダムの治水容量を入れ替える。現行の河川整備計画に位置付ける「烏川調節池」の整備、薗原ダム(群馬県沼田市)のかさ上げもメニューに加えた。
 関東整備局は洪水調節機能をより増強するため、現在6カ所ある中止ダムが活用可能かを探る。まずは事業が進捗する戸倉、倉渕両ダムを優先的に調査する。両ダムを活用した場合のコストと工期は、戸倉が約2000億円で約15年、倉渕は約500億円で約10年と見通す。各種対策を行った場合の事業期間は約30年、事業費は5400億~7600億円と試算した。
 18日に開催した「利根川水系における治水計画検討委員会」の会合で、関東整備局は対応方針案を提示した。検討委も方針案を「妥当」と評価。会合に出席した橋本雅道関東整備局長は「“令和の大改修”と銘打ち、抜本的な対策を進める」方針を表明した。二つのダムの調査と、26年度に藤原ダムの設計に着手するとした。
 戸倉ダムは水資源機構が建設を推進していたが、03年12月に事業中止が決まった。倉渕ダムは群馬県が事業を進めていたが、03年度に事業を休止し、15年度には中止している。