標準労務費定着へ官民協働/国は行き渡り阻害要因調査

2026年3月27日 行政・団体 [1面]

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 改正建設業法に基づき運用が始まった「労務費に関する基準(標準労務費)」を現場で浸透させるための動きが官民で加速する。国土交通省は重層的な下請構造の中での労務費の行き渡り状況や、個々の技能者の能力に応じた賃金の支払い状況などを詳細に把握し、追加的な対策の検討に生かす。元下間の見積書の取り交わしなどで商習慣の転換が進んでいない状況にあり、建設業団体も主体となった周知の徹底と正確な理解の浸透が求められる。
 標準労務費に関する中央建設業審議会(中建審)のワーキンググループを26日に開き、運用開始後のフォローアップで意見交換した。国交省の実態調査などを通じ、年1回の頻度で運用状況を確認することを決めた。建設業許可業者や公共発注者を対象とする既存のマクロ的な調査に加え、2026年度からは個別工事の関係者などに聞き取りするミクロ的な調査に乗り出す。
 工種・作業別に設定された標準労務費の具体的な「基準値」を活用した取引実態を新たに把握。個別工事に着目して労務費・賃金の行き渡りのボトルネックがどこに生じているかも把握する。統計上の技能者の平均賃金だけでなく、建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベルに見合った賃金が支払われているかも個人単位で確認する。
 元請団体からは施工条件・能力に応じた適正な労務費の算定方法や、見積書で内訳明示する必要経費の範囲の明確化などで国に要望があった。日本建設業連合会(日建連)は会員企業に周知の状況や現場の課題を夏ごろにアンケートし、運用改善策を国と検討する意向を示す。元請と価格交渉する下請の立場では、公共工事設計労務単価をベースに労務費を確保することに理解が依然ないことを嘆く声があった。
 民間発注者の立場からは、行き渡りのボトルネックで「精緻な調査をお願いしたい」といった期待の声があった。発注者が適切な労務費を支払ったつもりでも、末端の技能者まで賃金として確実に行き渡っているかどうか分からないとの疑念がある。標準労務費の運用が既に始まる中、早急な阻害要因の把握と解消を求めている。